
受け継ぐとは?
エピソード:菅野家の牧草地が家のすぐ裏にある。
震災が起こり、除染作業の中で今までの土をそっくり入れ替えられた。放射線量は減ったが、栄養が全くなくなった土地を帰還してから父の義人さんはコツコツと土づくりから始めた。そこから生えてきた牧草は見事に青々としている。その牧草で義人さんは「自分はもう畜産をやらないけれど、いつか誰かがその土地を使うかもしれない」との想いで今日も土地改良に励む。
義樹さんの奥さんの話が心に残っている。
「その土地に住んでいなくても、その土地の命を受け継いでいる」と話す。
震災が起きた時、奥さんの美枝子さんのお腹には赤ちゃんがいた。どこの土地にいるかを悩みながら避難し北海道に移住し、無事に出産した。飯舘には今はまだ住めないが、そこの人達の遺伝子を確実に受け継いでいる。
土地との繋がりは、そこに住むということだけではなく遺伝子を受け継ぐという選択の中にもある。
土地との繋がりとは、そこに住み続けるのも離れていても存在するものである。

